日本で「専用線」が生まれたのは1906年、7月20日のことです。よって、日本の専用線は100周年を迎えたことになります。今日ではVPNをはじめとする様々な代替手段が生まれましたが、かつて地理的に離れたところをセキュアな通信で接続しようとすると、専用線が唯一の手段と言えるでしょう。
日本で最初の専用線は、当時の逓信大臣の認可を受け、日本銀行と横浜正金銀行との間に「市外専用電話」として設置されました。目的は前年の1905年に終結した日露戦争後、活性化した金融状況を一刻も早く金融業者間で相互に連絡することだったということです。まだ当時の電話交換機のサービスは不安定だったため、いかなる時でも確実な通信を行えるサービスとして選択されました。1900年初頭、横浜は海外への玄関口でしたので、為替変動を、金融の中心東京にいち早く伝える役割を負っていたのです。
この初の専用線が設置されて以降、専用線は企業における情報交換に使われていきました。1978年には伝送速度を保証した符号品目が、1984年には加入者光ファイバーを使用した高速デジタル伝送サービスが提供開始されました。
開始当時の年間の使用料金は現在の物価に換算して約2,500万円、専用線敷設のための工事費用を含めると、現在の貨幣価値に換算しておよそ1億円にもなります。本当に特別な存在でそう簡単には利用することが出来ませんでした。現在ではコストが大幅に下がり、一般企業にも利用される専用線ですが、その存在意義は変わりません。設備の専有、セキュリティ・QoS・耐障害性の確保が大きな目的です。
現在の専用線は帯域で0.1Mb/s〜10Gb/s、インターフェースとしてEthernetも備えるなど、幅広い要望に応えるものとなっています。